吸気系トラブル(キャブレター)

 XS-1のオーナーであれば、キャブレターのフロートチャンバーをあけ、フロート周りの点検調整や、各バイパスに溶剤を注入し、ジェットリーマー等でゴシゴシやる程度のことは、やっているだろう。スロー系が、何となくおかしいなど、軽度のトラブルなら、これで直ることもある。
 この手の作業は、私も何度も行ったが、もはや、私のXS-1のキャブレターは、その程度では解決できない状態になっておりました。メインブロックが亜鉛ダイキャストであり、やわらかく、バタフライ周りが減っていた。特に、致命的だったのは、バタフライのシャフトが摩耗し、隙間から空気を吸い、スロー近辺が、不安定になった。二次空気を吸っているとき特有の、回転の落ちの悪さは、シフトアップを、クラッチを切らずにスロットルをちょっとだけ戻して行う習慣のある私には、非常に不愉快なフィーリングだった。

 もう、ここまでくると、プロの手を借りないとどうにもならない。プロといっても、オートバイ屋さんに、バタフライのシャフトの隙間を埋められるわけもなく、キャブレターのプロに、相談した。
 そう、四輪オールドカーファンや、その手のプロの間では名の知れた、テクニカルトート神奈川株式会社(神奈川県茅ヶ崎市荻園1161-28 電話0467-87-1707)に、キャブレターを持ち込んだ。以前より、松井工具のおやじに、テクニカルトートでは、バタフライのシャフトを作り直し、ブッシュを入れるなど、かなり高度なことをやるとは、話に聞いていた。実際、スタッフの方に相談し、バタフライのシャフトをスリーブ加工し、バルブを制作(オーバーサイズ)さらには、ダイアフラムの交換など、素人には手の付けられないことを、片っ端からお願いした。

 待つこと一ヶ月。サクションカバーと、フロートチャンバーをサンドブラスとされ、メインボディーが、ぴかぴかになったXSのキャブレターに再会する。一目見て、プロの仕事に感動した。注文の段階で、認識していなかった部分の不具合まで直してもらっていた。XSのキャブレターはメインブロックが、亜鉛合金で、フロートチャンバーがアルミ合金のため、ねじに引っ張られて、ブロックが歪むらしい。私が気がつかない部分であったが、点検し、修正されていた。また、私がしくじった、へたくそなヘリサートも修正されていたようだ。一番感動したのは、走行中にチョークレバーを無くしてしまったため、アルミの板で自作したチョークレバーを、付けておいたが、位置的な問題や固定の不具合も、カラーを使用して修正されていた。その他バランスパイプの樹脂製のエルボーを樹脂で固めてもらうなど、各部に細かい配慮と高い技術が、現れていた。

 翌日、キャブレターを取り付け、一ヶ月ぶりにXS-1を動かし、暴力的な加速と、スローが安定したことは、言うまでもないだろう。

愛しのXS-1トップへ

トップページへ