「東京のー、屋根の下に住むー、若い僕らーは・・・・おっ、どうした。バッテリーか」 オートバイを押してきた杉野に気が付いた。 杉野は店の前にオートバイを駐め、 「バッテリーは新しいから安心していたんですけど、充電していなかったんですかね」 「レギュレターだな。とりあえず、バッテリーを充電しておこうか」 そう言うと、車体からバッテリーを外し充電器にセットした。 「バッテリーを充電しないと手が出せないから、お茶でも飲もうか」 「はい・・」 前田は、店の奥から、居間の方に向かって大声で言った。 「ユッコー。ユッコちゃーん。前田由希子さーん。コーシー二つ入れてくれ」 「・・・・」 「ん、うちの箱入り娘はどこに隠れてんだ・・」 前田がウロウロしているところへ、しばらくして由希子が顔を出し、杉野を見つける。 「あら、杉野さん。オートバイ直ったんじゃなかったの」 杉野は、照れくさそうに笑いながら、 「直ったんだけど、別のところが壊れたみたいで・・・・」 |
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