数秒で発見するだろう。そう思った。 それまでに、店の準備をすませてしまおう。由希子は、仕込み掃除など、手早く終えた。 由希子が、茶の間に戻りお茶を飲んで休憩しているところへ、玄関がガラガラと空き、 「ただいまー」征雄が学校から帰ってきた。 「おかえり」 征雄は、ランドセルを背負ったまま、いつものように無造作に冷蔵庫をの扉を開け、ペッ トボトルを手に取ろうとしたところで、赤い小さなグローブが目に入った。 「おー!」征雄の声が茶の間まで聞こえてきた。 「どうしたの」白々しく、由希子が問いかける。 「ロペスだ。うおー」 グローブの入ったビニール袋を、小さな手で開けながら、征雄が茶の間に入ってくる。 「かあちゃん、ロペス、ロペス、グローブ、ボ、ボ・・」 「ボールでしょ」 「ボール」 |
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