射陽 - 第二章 悲しいキャッチボール -
「黒田はねえ、お母さんとキャッチボールをやって野球を始めたんだって」
「黒田君って、誰だっけ」
「カープの黒田」
「そう。黒田選手のお母さんは、野球がうまかったのね」
「ホーガンやってたんだって」
「ホーガン?砲丸投げ?」
「そう」

 球数が増えるにつれ、後ろにそらす事も少なくなり、キャッチボールらしくなってきた。

「マー坊は、カープに入るの?」
「ぼくは、アメリカに行く」
「そう。アメリカは遠いのよ」
「うん。飛行機に乗るんだよ」
「かあちゃんは、飛行機に乗れないから、一人で行くのよ」
「じゃあ、京急で行く」
「三崎口まで、一緒に行ってあげるわ」
目次.
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