生涯を終えた。そして、命と引き替えに、各保険金で、店と家族を守った。 征雄の部屋の窓から外をぼんやりと見つめていた由希子が呟いた。 「あんた。マー坊が、キャッチボールしたいみたいよ」 近所に買い物へ出かけた由希子は、ゴムボールなら自分でもキャッチボールの相手をして やれるのではないかと、スーパーのおもちゃ売り場を覗いてみた。 プロ野球チームのロゴや、人気ゲームのキャラクターイラストが入ったビニールのグロー ブ、バット、ボールのセット。バットを振ると、音が出るおもちゃ。いろんなものが目に入っ てくるが、ボール単体は無いか、売り場を隅々探してみる。 無造作に商品が置かれたワゴンの中に、あのロペスの顔が見えたような気がした。 由希子は、おもちゃをかき分け、ロペスの顔を探していると、ロペスの顔のイラストが描 いてあり、小さな二つのグローブと、ボールが五つ入った商品を見つける。 由希子は、これを買って帰り、台所の冷蔵庫に隠しておく。征雄が「ただいま」と言って、 |
目次. 第一章へ .27.28.29.30.31.32.33.34.35.36.37.38.39.40.41.42.43.44.45.46.47.48.49.50.51.52.53.54. |
-48-
次のページへ>