射陽 - 第三章 正義のカミソリシュート -

 涙でかすんだ目を、再びバックミラーに向けると、左手でマシンガンを抱え、右手で腹部
を押さえて、望がうずくまって苦しんでいる。
「この先に病院があるから、そこまで・・・・」
息絶え絶え、望が言った。

 望に案内されるまま車を走らせ繁華街までやってきたが、人通りが多く、商店街の手前で
車を乗り捨て、坂本はマシンガンを背負った彼女を負ぶって病院へ向かう。
 行き交う人々は、坂本へ滑稽な物を見るように指さして笑っている。
『阿呆ども、何も知らないくせに』怒りがこみ上げ、早足になった。


 なんとか辿り着いた病院の待合室では、アジア系の人々に混じって、アラブ系の人々、
みな、大けがしている人達で、ごった返していた。
 望は、坂本の背中から降り、診察室にふらふらしながら入っていこうとした。
 坂本は、女が背負っていたマシンガンを背中から降ろしてやる。
「私は、このマシンガンと引き替えに、自由というものがわからなくなったの」
「・・・・何だと」坂本は、ガレージにいた老人を思い浮かべた。
『あいつのせいか』

目次.
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.55.56.57.58.59.60.61.62.63.64.65.66.67.68.69.70.71.72.73.74.75.
.76.77.78.79.80.81.82.83.84.85.86.87.88.89.90.91.92.93.94.95.

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