射陽 - 第三章 正義のカミソリシュート -
 望が診察室に入っていく。扉の向こうで看護師が大声を出した。
「手術しなきゃいけないって言ったでしょ。こんなに無理しちゃって」

 そして、苦しそうな望の声がした。
「お願いです。薬をください。薬があれば、まだ戦えるんです」
坂本は、診察室の扉に向かって、マシンガンを持ったまま立ちつくした。

 やりきれなかった。

 ドーンと救急の入り口が開き、大急ぎで担架が運ばれてくる。右足を失ったカメラマンの
西本であった。
「西本さん」
「あっ、坂本さん。地雷にやられた」
「・・・・」
 西本は担架の上で、右手に持ったカメラを坂本に突き出し
「俺は、こいつと引き替えに、正義というものがわからなくなってしまった」
目次.
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.55.56.57.58.59.60.61.62.63.64.65.66.67.68.69.70.71.72.73.74.75.
.76.77.78.79.80.81.82.83.84.85.86.87.88.89.90.91.92.93.94.95.

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