父は、自分の知らない間に、栄が妹想いの良き兄に成長している事に驚き、喜んだ。
「そうだなあ。なにか見つけとくよ。でも、おまえ一人で作れるのか」 「んんん・・・」 「おう、今日は、お前とよく野球やってる、んんと、なんだっけ、ケン坊。そうそう高橋さ んの家の近所で仕事してるから。学校が終わる頃までには、何か見つけておくよ」 「・・・うん。じゃあ、帰りに」 豊は、栄の頭の上に大きな手を乗せ 「おまえ、良いアンちゃんだなあ。じゃ、行ってくらあ」 栄は父の大きな重い手で首をすぼめられながら、照れ笑いで、 「いってらっしゃい」と父を見送った。 |
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