「栄がお芝居をやったのよ。『その後のゴン』」「まっちゃん、もう一回見たいわよねえ」
「見たい、見たい」 「そうかあ。やるなあ、あんちゃん」 褒められても、ただニヤニヤしている兄に変わって真知子が 「おもしろいんだよ」 「おい、父さんにも見せてくれよ」 ひとりぼっちの子ぎつねゴン、寂しさのあまり兵十にいたずらを繰り返してしまったが、 母を失い落胆している兵十にいたずらの償いをするため、山で取ってきた栗や松茸を幾度も 届けていた。 ある晩、ゴンが兵十の家に栗をとどけに行ったとき、物音に気づいた兵十が、ゴンに気が 付く。「また、いたずらしに来たのか」兵十は火縄銃でゴンを撃ってしまう。 横たわったゴンのそばに、たくさんの栗が置いてあるのを見つけた兵十、 「ゴン、お前だったのか、いつも栗や松茸をとどけてくれたのは」 ゴンは目をつむったま、まこっくりとうなずき、兵十の手から煙が立ち上る火縄銃が落ちた。 ごんぎつねは、ここで終わる。 |
目次. 第二章へ .55.56.57.58.59.60.61.62.63.64.65.66.67.68.69.70.71.72.73.74.75. .76.77.78.79.80.81.82.83.84.85.86.87.88.89.90.91.92.93.94.95. |
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