射陽 - 第三章 正義のカミソリシュート -
キャッチ、高田が中継して角のかけらが平松のグローブに入りました」

 スケッチブックは平松の投球フォームの絵に
「平松が投げた角のかけらは、カミソリのように切れ込むシュートして赤鬼のおへそにあた
り、赤鬼は倒れて
『おなかが減って、イライラしていたんだよ』と言いました。ゴンは、
『山に行けば、いろんな食べ物があるよ。もう、弱いものいじめはしないで』と言いました。
赤鬼は、『わかった』と言って、山のほうにとぼとぼ歩いていきました」

 栄はスケッチブックを畳み、ダンボールのゴンを抱える。
「鬼退治から帰ってきたゴンはある、満月の夜、兵十に逢いに行きました。兵十は、もう寝
るところだったのですが、ゴンは言いました『今日、お父さんとお母さんが迎えに来るんだ。
さようなら』兵十は何も言えませんでした。すると、まん丸いお月様から二匹のきつねが降
りてきて、『兵十さん、ゴンが御世話になりました』頭をぺこりと下げ、ゴンを連れてお月
様のほうへ帰って行きました」

 栄はダンボールのゴンの前足を左右に振って
目次.
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.55.56.57.58.59.60.61.62.63.64.65.66.67.68.69.70.71.72.73.74.75.
.76.77.78.79.80.81.82.83.84.85.86.87.88.89.90.91.92.93.94.95.

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