命だけは助けてやろうと思い、パンのかけらを拾い上げ、目の前にある公園の方へ遠く投
げ捨てた。 パンのかけらは宙を舞い、公園の真ん中あたりに落ちて二三度飛びはねる。 ダダダダッと銃声がなり、パンのかけらが落下した付近に土煙が舞い上がる。 ブランコの向こう側にある植え込みに、ピンク色のサマーセーターを着た若い女が、マシ ンガンを構えている。つい先ほど坂本が担いで病院に連れて行ったはずの望だった。 「私には出来ない」 望はその場に泣き崩れ呟いた。 坂本は「やめろー!」と叫びながら、望に駆け寄るが、小石に足を取られて転び、地面に 頭をぶつけたところで目が覚める。 夢だった。 |
目次. 第二章へ .55.56.57.58.59.60.61.62.63.64.65.66.67.68.69.70.71.72.73.74.75. .76.77.78.79.80.81.82.83.84.85.86.87.88.89.90.91.92.93.94.95. |
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