「いいんじゃないかしら」 豊は風呂につかり、栄が一生懸命ゴンを造っている様子を想像してみる。さぞ、大変だっ た事だろう。悄げていた真知子があれだけ喜んでいるとは、栄も喜んでいるに違いない。 我が家は安泰だ。「ふうう。」 茶の間では、朝とは打って変わって賑やかな夕食が始まった。 口をもぐもぐさせながらも、にこにこ笑っている真知子に豊が尋ねる。 「まっちゃん、アンちゃんにいいの作ってもらったなあ」 「えへへ、えへへ」口の中のご飯をゴクンと飲み込んだ真知子が、 「生きてたんだよ、ゴン、生きてたの。それから、うんと、うんとねえ、帰ったの」 「・・・・そうか、よかったねえ」 『帰ったの』の意味が理解できない豊は、ニヤニヤしている栄の顔を見て 「帰ったって?」 栄はただ、ニヤニヤしていた。 事態を詳しく知らない豊に妻の徹子が
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